有害化学物質の環境分析

大気、土壌、水といった身の回りの環境中には様々な化学物質が存在しています。その中には有害な化学物質も含まれています。私達は実際のフィールドから環境試料をサンプリングし、研究室に持ち帰って様々な化学物質の分析をしています。得られた環境濃度データから発生源や汚染分布などの特性を明らかにすることで、今後の汚染防止に役立てたいと考えています。しかし、環境中に蔓延した化学物質の中には、未だその実態が明らかとなっていない物質も多数存在しています。当研究室では環境中の新奇な有害化学物質の探索、評価を通じて先導的な環境分析研究を目指しています。

有害化学物質の環境動態解析

環境中に放出された様々な化学物質は、太陽光、他の化学物質、微生物など様々な因子によって別の物質へと変換していきます。その際、毒性がさらに増悪するような化学物質も実際の環境中に多数存在します。私達は、このような現象を実験室内で再現し、実際の環境における化学物質の動態を解析しています。化学物質の環境寿命、生体内における代謝、毒性の変化過程を明らかにすることで化学物質による環境・生態の影響評価を進めています。

有害化学物質の生体影響評価

環境中の化学物質は、生体内に入りこむと様々な健康被害を引き起こします。例えば、ダイオキシン類や多環芳香族炭化水素類などが生体内に取り込まれると、薬物代謝酵素の誘導(内分泌撹乱作用)をはじめ、発癌プロモーションなど様々な生体作用を示すことが知られています。とくに、これらの作用にはダイオキシン受容体 (Aryl hydrocarbon receptor)が関与していることが明らかとなってきました。当研究室では遺伝子組み換え微生物を用いて、環境中から新たに見出された化学物質の内分泌撹乱作用 や変異原性を調べ、新奇化学物質による生体影響を評価しています。また、これらの手法を用いて、環境試料から毒性物質のスクリーニングもしています。

環境低負荷・機能性材料の新規創製

環境中から単離した微細藻類を用いて、CO2からバイオ燃料の微生物合成を試みています。
セルロースなどのバイオマスを微細化、高機能化する技術を開発し、更なる有効利用を目指しています。