・バラ科果樹果実の品質向上に関する研究
リンゴ、モモ、ナシなどのバラ科果樹では、ソルビトールを主要な転流糖にもちいています。スクロースのみを転流糖に用いる一般の植物と異なり、バラ科果樹ではなぜ二つの転流糖が存在するのか、その役割は何かを解明することにより、果実の品質の向上に資することを目指しています。これまでに、ソルビトールを合成する酵素の発現を抑制した、リンゴ形質転換体をもちいた、システムバイオロジー研究を行い、ソルビトールが糖度や酸度などの果実品質に影響を及ぼすことを明らかにしています。現在は、スクロースとソルビトールの両者がどのようにシグナル因子として働き、遺伝子発現を調節しているのかについての研究を進めています。
・園芸作物の品質保持に関する研究
園芸作物は非常に傷みやすく、品質は急速に劣化します。収穫した園芸作物を、新鮮な状態で消費者に届けることは、おいしさだけでなく、栄養価の面から重要です。現在、貯蔵・流通は低温により行われていますが、これには多大なエネルギーと設備を必要です。私たちは、環境負荷を軽減すべく、常温での園芸作物の品質保持技術の開発を行っています。これには、エタノール蒸気や高温などの非生物的ストレスを利用し、ブロッコリーなどで顕著な効果をみとめており、適用作物の拡大を図っています。あわせて、その鮮度保持の生理的メカニズムについて解明を進めています。また、世界的に普及しつつある、園芸作物の鮮度保持剤である、1-MCPのアプリケーション研究も進めています。私たちは、グローバルな果物で消費量の多いバナナの他、主に日本で食される青果物に焦点を当て、その鮮度保持効果を検討しています。さらに、実用面における課題の解決にも取り組んでいます。
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