20世紀における高度工業社会化の波は、物質文明という意味では社会に大きな進歩をもたらしました。しかし、20世紀後半以降その負の側面として、食糧不足と安全・安心にかかわる問題、環境問題、エネルギー問題等々人類の存続そのものにかかわる数多くの問題が噴出してきました。これらの問題を解決することが、人類にとって最も重要な課題となっています。これらの「生命・食料・環境・エネルギー」にかかわる諸問題の解決策を探ることおよびそのための人材を養成することこそ、本学部が開設以来今日まで追究し続けてきたことです。
本学部は昭和25年(1950年)に開学し、六十有余年の歴史を誇る県下で最も伝統ある農学系学部で、既に1万5千人に上る卒業生を輩出し、東海地区だけでなく全国各地で幅広く活躍しています。本学部の人材養成の目的は、名城大学の立学の精神「穏健中正で実行力に富み、国家、社会の信頼に値する人材を育成する」という実学教育の精神を基にした「生命・食料・環境・自然に対する幅広い専門的学識と洞察力を有し、創造力と実践力を備えた社会に貢献できる人材の養成」を掲げ、教職員一丸となって教育研究に邁進しています。開学当時は現在の附属農場がある春日井キャンパスの地に農学部農学科のみでしたが、現在は生物資源学科、応用生物化学科、生物環境科学科の三学科および附属農場、大学院農学研究科にまで教育組織・施設も充実しています。平成28年3月には、老朽化が甚だしかった附属農場本館に代わって新本館の竣工も予定されています。
それぞれの学科では、現代社会が直面する諸問題に積極的に取り組むことのできる人材を養成するために、「生物資源の有効利用と安定的な生物生産」、「生命現象と食品機能の解明と応用」、「生物と人と自然との調和がとれた環境の創出」について、教員相互に連携を取り合って最先端の研究成果を踏まえた基礎からの教育を行っています。本学部の教育の特徴は、講義で得られた理論や知識を更に理解するために実験・実習や演習に力を入れていることにあります。最新設備の整った学生実験室での実験以外にも、現場を知るための附属農場での生産実習や食品加工実習、各地に出向いての実地調査・体験学習・施設見学などを行っています。また講義や実験・実習などの教育研究の場だけでなく、学生・教員の交流会、スポーツ大会、田植祭や収穫祭を通して学生と教員の双方向でのコミュニケーションを図り、人間的なふれ合いも大切にしています。
また、本学部の行っている多くの研究テーマが、科学研究費や省庁からの公募型大型研究費に採択されていることからも研究レベルの高さは分かります。最近では、文部科学省支援大型プロジェクト「私立大学等改革総合支援事業」や「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」などにも採択され、実験設備面も更に充実し教育研究環境は一新しました。この恵まれた施設・環境で本学部最終学年における必修科目『卒業研究』において、指導教員からマン・ツー・マンのきめ細かい教育がなされ、社会で即戦力として活躍できる人材へと育成しています。
本学部は、学生の成長を追究しつつ、教育と研究の両面において国家・社会への貢献をめざしてまいります。